大広場に着くと、すでに多くのプレイヤーが集まっていた。ざっと百人は超えている人数だろう。 「すごいですね。こんなに人が集まるなんて……」 「それだけ、スノークリスティは人気があるってことよね」 二人は話していても、ユウはまださっきのことを根に持っているのか、ムスッとした表情をしている。 ミカが何か声をかけようとしたその時、人だかりがざわつき始める。どうやら、スノークリスティが姿を現したようだ。 「みなさん。よく集まっていただきました。まずはお礼を申し上げます」 大広場中央に用意されていた台の上にスノークリスティ―が立つと、集まった全員に頭を下げた。 クールだが礼儀正しいところが、彼女にファンが多いゆえんなのかもしれない。 「さて、みなさんにはこれからクエストを行ってもらいます。タイトルは『牧場ウォークラリー』。 初心者大歓迎です。パーティーは二人から五人がベストで、途中でパーティーを変えるのもあり。 クエストの内容としましては、五つのチェックポイントを周ってきていただき、一番にここへ戻ってきたものが勝者となります。 チェックポイント各地には、それぞれ試練を用意させていただきました。ボス戦が必要なところもありますので、決して 無理をされないようにお気を付けください」 百人以上はいる人たちの前で、スノークリスティは臆することなく凛とした声で伝える。クエスト参加者は誰も 声を出そうとはしなかった。 (これが……ALO最強プレイヤースノークリスティ。……私も絶対に、あそこまで登って見せる!) ミカはスノークリスティに対してほのかな対抗意識を燃やす。 「それでは、スタート!」 スノークリスティが叫ぶと同時に、各パーティーのリーダーのアイテム欄にチェックシートが付与された。 今まで黙っていたプレイヤーたちは雄叫びをあげて走り出す。 「ユカ! ユウ! 私たちも行くよ!」 「はい!」 「……わかってるよ」 こうして私たちの初めてのクエストが始まった。