ALOの世界にログインしたミカたちの目の前には、少しのロード時間が終わると央都アルンの街に転送されていた。 ミカは初心者ながらも、この街には何度か来たことがある。それはこの街が華やかだからということも あるが、スキルの熟練度が高いプレイヤーたちが訪れることが多いからだ。 ミカは街の空気を思いっきり吸うと、自分の中で闘争心が沸いてくるのを感じた。 「おっしゃー!! やってやるぜ!!」 昂ぶった気持ちのまま声を張り上げる。街を歩く他のプレイヤーが、チラチラとミカを見ているが、彼女に 気にするそぶりはない。 「…おい、あんまり騒ぐなよ。一緒にいる身にもなれよ。お前も恥ずかしいだろ?」 ユウは隣でニコニコしている、可憐な少女に声をかける。少女はミカを見て、一層嬉しそうな 笑みを浮かべた。 「私は全然。ミカさんみたいな人って、私の周りにはいませんでしたから、新鮮で楽しいですよ?」 「新鮮って……」 こんなのには慣れたくないと思ったが、ミカがこっちを見ていることに気づく。 「なんだよ」 「もう、テンション低いなぁユウは。でも、あんたって年下でしょ? 何歳なの?」 「はぁ!? いきなりなんだよ。こういう所で年齢とか聞くのって、デリカシーのない奴だな」 少し警戒心を出して、ミカを睨みつける。もしかすると、年齢のことでこれまでもバカにされたことが あるのかもしれない。この世界は秩序正しいところだと言われていても、他種族同士での殺し合いは ありなため、女性を殺すことに快楽を覚えている不埒な奴らも存在している。そう言った一部の問題プレイヤー たちは、子どもを狙っているプレイヤーたちもいるようだった。 ミカはちょっとぶしつけすぎたかなと思いつつも、ニカッと笑う。 「悪い悪い。ユウにも私のこと、名前で呼んでほしいって思ったから。和んでもらおうと思って聞いたんだけど 間違えたね。私は高校二年生なんだ。ユウはそれよりも下でしょ?」 「……そうだけど」 「じゃあさ、私のこと『ミカ姉』って呼んでよ」 「はぁっ!?」 目の大きなユウは、その大きな瞳をめいいっぱい広げて大声を上げる。さっきはじろじろとミカのことを見ていた 他プレイヤーたちが、今度はユウを見る。賑やかなパーティーだと見られていることだろう。 「何でだよ!」 「私は何とお呼びしたらよろしいでしょうか?」 「ユカは呼び捨てでいいよ。タメぐらいでしょ」 「はい。私も高校二年生です」 「じゃあ、決まりね!」 「はい!」 「いや、だからボクの話も聞けよ!!」 ユウの声は二人には届かず、ユウを置いて歩き始める。このまま無視されるなら、いっそ今のうちにパーティーを 離脱するかと、一瞬の誘惑にかられる。そもそもユウはこのパーティーに入るつもりはなかったのだ。 ただ、スノークリスティがイベントを企画しているという話を聞いて、興味を惹いただけ。 「ちょっとユウ! いつまでそこにいんのよ。行くよ~。ユウの大好きなスノークリスティ様の姿も間近で拝めるし」 「なっ!?」 ミカの言葉にユウは一瞬で頬を真っ赤にさせる。 「違うって言ってんだろ! ボクは強い奴に憧れてるだけで……」 「スノークリスティ様も罪作りな人よね。ユウみたいに小学生まで手玉に取るなんて」 「ちょっと待て。ボクは小学生じゃない! 中一だ!!」 と、ユウはそこで自分で自分の年をばらしていることに気付く。ミカを見るとニヤニヤとした表情を向けていた。 つまり、ミカの策略にはめられたというわけだ。 「へーそうなんだ。中学一年生か。よろしくね。ユウ君」 「ちくしょ~~~!!!!」 ユウはよほど悔しかったのか、ミカとユカを追い抜いて、一人開会式のある場所に向かって走って行ってしまった。 「可愛いなぁ、ユウって」 「……ミカ、後でちゃんと謝ったほうがよろしいですよ?」 「はーい」 そう言いあい、二人も開会式が行われる場所へと向かったのだった。 #br 次>[[SCWOG × SAO アルン大広場]] 次 >>[[SCWOG × SAO アルン大広場]] #br ---- 執筆:如月わだい 企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一 原作:ソードアート・オンライン #br |